金型構造の考察【EG νガンダム】【4色成形】

金型構造考察

こんにちは、MIBです。

EG νガンダムを購入しましたが、ランナー状態を観察しても非常に面白く、金型構造について考察しようという企画の第2弾、本日は4色成形金型について考察したいと思います。

※前回同様仕事柄射出成型部品の金型について考えることが多いためその延長上での自分の考えを述べた記事です。バンダイさんの公式見解でもなければ、間違った話をしている可能性も十分あるとのご理解をよろしくお願いします。

 



身近にある2色成形

4色成形については私は成形現場を見たことはないですが、2色成形の成形現場は見たことがあります。

2色成形の身近な例としては一昔前のケータイのカバー類によく使われている、硬い樹脂とやわらかい樹脂を一体で成形しているものなどが挙げられます。

2色成形の成形は2段階

ケータイのカバーの例でいうと、まずやわらかい樹脂を成形して、外観側の金型(キャビ型)が入れ替わって硬い樹脂を成形するような形です。金型は重いので人力で入れ替えるわけではなく、2色成形を行う成型機には金型を回転させる機構が搭載されており、内側の金型(コア型)が180°反転することで金型の入れ替えを行っています。これに加えて樹脂も2種類セッティングできるようになっているなど、2色成形は金型も特殊ですが、成型機自体も特殊な専用のものになります。

2色成形の流れと特徴

2色成形で1つの部品を作る流れとしては以下のようになります。

  1. 金型が閉じる
  2. 1色目の樹脂を射出成型する
  3. 金型が開く
  4. 金型が回転する
  5. 金型が閉じる(キャビ型が外観のものになる)
  6. 2色目の樹脂を射出成型する
  7. 金型が開く
  8. 部品を取り出す

1つの部品ができるまでの流れなので8工程ありましたが、実際には1色目2色目を同時に射出するため、金型が開くたびに1部品は完成する仕組みとなっています。

また特徴をまとめると

  • キャビ型が1色目、2色目の2パターンある
  • コア型が回転することで自動で生産できる
  • 金型を回転させたり、2種類の樹脂をセッティングできるよう、成型機自体が専用のものになる

となります。

前回紹介したスライド金型は金型単独の技術でしたが、2色成形は金型・成型機含めた技術になります。

4色成形について

4色成形については実際に見たことはないので、バンダイさんから発売されている4色成形機のキットと実際の4色成形のランナーを見てどのような仕組みなのか考察してみたいと思います。

4色成形機について

4色成形機は以下のようにキットとなって模型が発売されています。

これを見ると通常の成型機の射出方向に加えて、上左右の3方向からも樹脂を射出できるような構造になっているように見受けられます。

4色成形されたランナー

EG νガンダムではA1とA2ランナーが4色成形となっています。このランナー2枚、おそらくもとは1枚で、成形後にカットして2枚になっていると思われます。なのでEG νガンダムで起工されている4色成形金型は1型だと思われます。

4色成形考察

ここからは完全に個人的な考えになりますのでご了承ください。ただ、結構理にかなった考えになったと思っています。

樹脂の射出元の考察

4色成形機の構造を見ると、前述の通り中央の樹脂射出部に追加するような形で上左右の3方向に樹脂を射出できそうなユニットがついた構造になっています。このことから、通常の樹脂射出部がメインの射出部で、上左右の樹脂射出部は補助になるような部分だと考えられます。

一方でEG νガンダムの4色成形ランナーを見てみると、樹脂は4色(紺・白・赤・黄)が使われていますが色の異なる樹脂が接合している部分を確認すると白・赤・黄は円形になっており、紺がそれぞれの円形を包み込むような形状をしています。

この4色成形機の構造とランナーの構造から、

中央の樹脂射出部から射出されている樹脂は紺、上左右3方向から射出されている樹脂は白・赤・黄

だと考えられます。

もちろんキットによって色は異なりますが、一般的には色の異なる樹脂の接合部の形状をみて

  • 円形なら上左右からの射出
  • 円形を包み込む形なら中央からの射出

だと考えられると思います。

成形方法の考察

つぎに4色の樹脂の成型方法について考えます。

多数の樹脂を流す場合、一度に樹脂を流すと狙った位置で分けることができないので樹脂ごとに区切って射出する必要があります。

先に例を挙げた2色成形であれば、1色目と2色目の射出の間に金型を回転させることで明確に各樹脂のスペースを区切っていました。ただし回転させる手法は以下の理由からガンプラの4色成形に取り入れるにはメリットが少ないと感じました。

  • ランナー含めた部品が大きすぎて複数個取りできない
  • 回転させて1色ずつ成形だと1ランナー完成に4回射出が必要となりサイクルタイムが長くなる

このことと、色のころなる樹脂の接合部の形状から、4色成形で1つのランナーを作る流れは以下のようになると想像しました。

  1. 金型が閉じる
  2. 丸ピン(色の領域を仕切るもの)が突き出してくる
  3. 1色目射出
  4. 丸ピンが戻る
  5. 2~4色目射出
  6. 金型が開く
  7. 部品を取り出す

ここでポイントが丸ピンと各色のランナー配置で、

  • 1色目成型時には丸ピンが2~4色目の部分に流れ込まない区切りとなる
  • 2~4色目成型時には成形済みの1色目のランナーが区切りとなる
  • 1色目のランナーを区切りにすることで、2~4色目は一度に成形できる

という理にかなった成形ができているのだと考えられます。

また通常の成型機での成形サイクル内で、ここでいう丸ピンを動かす機構は存在しないため、2色成形機が金型を回転させる機構を持っていたように、4色成形機に丸ピンを動かす機構が備えられているのかと考えています。ただしスライド金型もそうでしたが、丸ピン程度であれば金型側の構造でなんとかなりそうな気もしていて、ランナーを見ただけでそこまでひも解くことはできませんでした。

まとめ

今回は4色成形について自分の考察を述べました。

バンダイさんのなかで4色成形は古くから使用されており、私自身ガンプラに触れだした当初から見てきたのですが、ずっと一気に4色を射出して合わせているのだと考えていた時期もありました。ただ2色成形・金型構造に触れることがあり、今回EG νガンダムのランナーをまじまじと観察してみたことで、自分の中ですっきりした考えに至ることができました。

EG νガンダム、購入したもののランナーを眺めて、スライド金型と4色成形の記事を書いていたためにまだ部品切り出しもできていません。まとめたかった内容は今回でまとめられたと思うので、楽しみながらぱちぱち組みたいと思います。

ではっ!

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